むちうち症の後遺障害等級14級と非該当の違い
弁護士の齋木です。
今回は、むち打ち症と後遺障害の認定について書きたいと思います。
【首や腰のむちうち症】交通事故で最も多い怪我
むちうち症の中には、レントゲンやCT、MRIで、異常所見が見つかる例もありますが、実際には、異常所見が少ない方が多いというのが私の感覚です。
ただ、異常所見がないからといって、完全に治癒するのかと言えば、必ずしもそうではありません。半年程度、治療を継続しても、痛みやしびれなどが残るケースも多くみられます。
その場合に、自賠責保険によって、
後遺障害等級14級9号が認定される方と、認定されず非該当となる方
がいらっしゃいます。
後遺障害等級がつく方とつかない方の違いはあるのか?
自賠責保険から、認定基準などは明白に開示されていません。
しかし、認定事例とそうでない事例を数多く経験していくと、なんとなく、これは付く、付かない、みたいな感覚が身についてきます。
交通事故問題を扱う法律事務所のHPに、むちうちの方は、一度ご相談ください、といったようなアナウンスがされているものを最近よく見かけます。
ただ、どのHPを見ても、14級と非該当は、〇〇〇〇で決まります、などとは書かれていません。
これはなぜかというと、自賠責保険が認定基準を明らかにしていませんし、最終的には、被害者の方の医療記録の記載内容から、総合的に判断されているから、明白な線引きができない、ということになります。
ここでよく考えればわかることですが、
自賠責保険に後遺障害等級認定の申請を出す段階では、すでに、判断の元となる『治療記録』は完成されているのです。
治療記録は、毎回の通院時の積み重ねの結果として完成されているし、そして完成後の治療記録の最終形態が、後遺障害診断書として、自賠責保険に出されている状態なのです。
よって、一度、自賠責保険に後遺障害等級の申請を行い、非該当となった方の場合、その判断を覆すのは難易度が高いのです。
あなた自身の事故後から症状固定までの医療記録はもう完成されており、それを自賠責保険が一度確認をして、非該当としているので、これを異議申立てをしてひっくり返すというのは、なかなかハードルが高いものになります。
非該当認定から等級認定をひっくり返せたケースもあります。
自賠責保険の非該当認定をひっくり返して、14級を付けてもらうことが出来る事例もあります。
被害者の方の症状を補充する書面を作成して、追加提出したり、場合によっては、医師の方に、簡単な意見書を書いてもらったこともあり、追加資料が整えば、ひっくり返ることもあります(医師面談をした際に、〇〇さんのこの症状で、14級も認定されないのは、ちょっと疑問だね、というようなコメントを頂いたこともあり、協力的な医師の方もいます)。
なお、加害者側の保険会社に任せっきりで、自賠責保険に申請をする「事前認定」という申請方法の方の場合、そもそも必要な資料が十分に提出されておらず、非該当となっている方もいらっしゃいます。ひどい事例だと、非該当から、14級ではなく、もっと高い等級が付く事例も、稀にあります。
当事務所でも、議申立てをして、非該当→14級に変更された事例が、毎年発生しています。
まとめ:非該当からひっくり返すのは難しいが、可能なケースもある。
非該当だからと言って、すぐにあきらめる必要はありません。
でも、異議申立てのハードルは高い。
弁護士に依頼をしたら、必ず異議申立てが認められて、後遺障害等級が認定される、というわけでもない。
厳しい言い方ですが、自賠責保険に対して、「非該当」は間違っているということをアピールする材料が必要で、それが全くない事案などでは、何度異議申し立てもをしても、結論が変わらないこともある、という程度のことは、ご理解いただきたいところです。
治療中や事故直後からご相談がお勧めです。
事故にあわれて、ご自身の体が元に戻るのか、今後の生活や仕事のことなど、不安なことが山積みな状況下とは思います。
しかし、治療記録そして後遺障害診断書が完成する前である事故直後や治療中のご相談がお勧めです。
①交通事故の賠償問題の全体の流れ
②将来、自賠責保険への等級申請(つまり治らなかった)という不幸な未来が生じた場合についても、ある程度織り込んで、可能な範囲で予備知識として持っておいてもらいたい部分についてはお伝えするようにしております。
治療中や事故直後の方も、予備知識を得る、というためでもいいので、一度ご相談されると、いろいろと、不安だったことや、わからなかったことを、ご理解いただけると思います。
詳細が気になる方は、一度、ご相談にお越しいただければ幸いです。
交通事故について、よくある質問もご覧ください。