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【法律相談】自分にも過失が少しある被害者が、満額の賠償金をもらう方法はありますか。

この問題では、何を「満額」というか、厳密な話を差し置いて答えさせていただくと、

物損だと無理だが、

人身損害なら、

やる気があり、時間をかけて、弁護士のアドバイスをもらいながらじっくりと対応できる性格の被害者の方で、人身傷害保険をお持ちの人なら、できると思う、ということになる。

※なお、「満額」とは、裁判所が認定した弁護士費用以外の額、を指すが、あまり気にする必要はない。弁護士費用は、弁護士費用特約がある場合、やはり通常は気にする必要はない。

過失があるのに?

満額回収?

そんなばかな、セールストーク?

と思われるかもしれないが、詳しく説明をしておきます。

たいていの事故は、被害者の方にも、少しは過失がある

追突された、加害者が信号無視をして事故が起きた、といった明らかに、加害者の過失が10割の案件を除くと、多くの交通事故では、被害者の方にも、過失がでます。

交通事故というのは、なかなか100対ゼロにはならない、と巷で言われていますが、現実の裁判でも、まさにその通りです。だからと言って、満額回収をあきらめる必要はありません。

自分の過失分は、賠償金から相殺されることが通常です。

被害者の過失が、1割なのか、2割なのか、3割なのか、それとも4割くらいあるのか、は事故の内容次第になりますが、被害者の方に過失がある場合、過失相殺と言って、自分の過失分については、損害賠償額から差し引きされることになります。つまり、ふつうに考えれば、満額の賠償金は、まずもらえません。

例えば、加害者の過失8割、被害者の過失2割で、計算を簡単にするためにざっくりと説明すると、損害賠償額の総額が500万円の場合、被害者の方は、自分の過失の2割に相当する100万円(=500万円×20%)は差し引きされてしまい、結局、400万円が手取りになるということです。

本日の本題は、過失がある被害者の方が、自分の過失分として差し引かれてしまった損害賠償金を、なんとかして回収する方法はないのか、という点です。先ほどの事例では、差し引かれた2割分の100万円を回収する方法はないのか、ということです。

自分の過失分を回収する方法

結論を先に述べると、

①示談交渉ではなく、裁判所を利用して、解決する

②被害者の方が加入している自動車保険の人身傷害保険を使う

の二つが必要になります。

①裁判所を使おう

まず、①ですが、裁判所を利用しましょう、ということです。

こういう話をすると、「裁判なんて、そこまでは考えていない」というお声をよく聞きます。

確かに、私も交通事故案件のすべてについて裁判所を使いましょうとは、考えていません。

実際に、全件裁判をしているわけではありません(示談で解決する事例も非常に多いです)。

時間もかかるし、交通事故くらいで裁判までやる必要ない、という世間の感覚は、よくわかります。

中には、裁判をすること自体が、なんだか悪いことをしているみたい、と感じる方もいるようです。

ただ、裁判といっても、交通事故の裁判は、そんなに構えてもらう必要はありません。

何か悪いことをして、「裁判にかけられる」わけではありません。被害者なのですから、当然です。

逆に、加害者の方に対して、「悪いことをした人を訴えてやる」というような、意気込みが必要になるわけではありません。

そもそも、交通事故で裁判をしても、加害者の方本人はほとんどやることがないケースが大半です。

実際は、加害者の加入している保険会社と保険会社の弁護士が対応します。

交通事故の加害者になり、訴状が自宅に届いた場合の、よくある流れは、次の通りです。

訴状が届いた加害者の方が、加入している保険会社の担当者に電話すると、「うちの保険会社が契約している弁護士に依頼しますね。委任状と契約書を送ります。サインと印鑑を押して、返送してください」と言われて、それ以降、一度も裁判所に行くことがなく、裁判が終わるという加害者の方も少なくないと思います。つまり、加害者の方の負担は非常に少ないというのが実情です。

※もちろん、他の裁判と同様に、加害者の方が法廷に来て、弁護士や裁判官から質問をされる「尋問」というもをやる等、加害者の方にも一定のご負担がかかる事例もあります。

実際の、交通事故の裁判では、何をやっているのか

簡単にいうと、「裁判所という中立で公平なところに、被害者の方に、いくらの補償をすればよいのか、つまり損害賠償金を計算してもらうだけ」と考えてもらって、問題ありません。

実際には、被害者の方の医療記録(カルテ、MRIなどの画像)を取り寄せて、症状や後遺障害の内容を、被害者の弁護士、加害者(保険会社)の弁護士がそれぞれ言いたいことを言って、裁判所も、医療記録の内容を確認して、慰謝料などの損害賠償金の額について、裁判所が決めている、というだけです。

過失割合でも、争いがある案件では、警察での実況見分調書や、被害者・加害者の双方が、事故直後に警察にどんな説明をしていたのかという供述調書を裁判で確認して、やはり最後は、裁判所が決めます。

これが、交通事故の裁判の現実です。

言い換えれば、公の裁判所が、被害者の方への補償額(つまり損害賠償額)と過失割合を決める、という手続きが、交通事故の裁判です。これだけが、交通事故の民事裁判の目的と言ってもよいです。

②人身傷害保険を使おう

一般的な自動車保険の人身傷害保険は、

契約者つまり被害者のあなたが、

弁護士に依頼をして、手間暇かけて、民事裁判を起こして、

裁判所で、交通事故の損害賠償金の総額と過失割合を決めてもらって、

その結果、加害者の保険会社から支払ってもらえなかった自分の過失分がどうしても発生しますが、

その分、つまり自分の過失分の損害賠償金は、人身傷害保険で支払います、となっているのです。

もちろん、保険会社によって、保険商品の内容は違う可能性もありますので、全ての人身傷害保険がそうなっているとは断言できませんが、

私の経験上は、主要な保険会社の保険約款では、「判決又は訴訟上の和解において賠償義務者が負担すべきとされた損害賠償額」(いわゆる訴訟基準損害額)が人傷基準損害額と異なる場合、訴訟基準損害額を人傷基準損害額とみなす旨の条項が入っています。

そうすると、人身傷害保険(これは被害者の加入している保険)では、裁判所で決まった額(訴訟基準損害額)をもとに、保険金支払いをすることになります。

ということは、冒頭の事例で、500万円が裁判所で決まった額として

加害者の保険会社から、400万円(=500万円から被害者の過失分100万円を控除)

被害者の保険会社から、100万円(人身傷害の支払い基準額が訴訟基準になり500万円のうち、400万円は、加害者の保険会社から払ってもらっているので、100万円を被害者の保険会社が払うことになる)

合計500万円、支払われるわけです。つまり満額です。

こうなるので、①の裁判所を使った方がいい、ということになるのです。示談だと、こうはいかないのです。

なお、被害者の方が、ご自身の自動車保険の人身傷害保険を使っても、保険の等級が下がるなどの不利益は、通常ありません。少なくとも私は見たことがありません。つまり、使った方がいいのです。

もちろん例外もある

1 損害額が、示談段階よりも、裁判所で大幅に減額されるケースがある

交通事故に遭い、自賠責保険に後遺障害の等級申請を行い、例えば、5級がついていたとしましょう。

しかし、裁判所というのは、自賠責保険が認定した等級だって、変更できます。

保険会社側が、裁判で、被害者の等級が高すぎるといって争ってくると、中には、裁判の結果、等級が7級や9級に下げられるケースがあります。

こうなってしまうと、そもそもの損害賠償額が大幅に減ってしまいます。

当事務所では、保険会社側で弁護をすることもあるため、こういった最悪のケースが実際には存在することを身をもって経験しています。

この経験を生かすならば、被害者側で弁護をする際には、裁判で等級が下げられるという最悪の事態を回避する必要があり、リスクが高い案件の場合、、裁判はしないでおきましょう、というアドバイスをすることになり、実際に、そのようなアドバイスをしたケースもあります。

このリスクの判断のために、当事務所では、後遺障害等級が認定されている場合は、ほぼすべてのケースで、被害者の方の全医療記録(カルテ、MRIの画像など)を取り寄せさせていただき、リスクをチェックしています。

まず、裁判を起こす場合、裁判を起こしたことよって、示談段階より金額が下がらないか、そのリスクはどの程度あるのか、という点をしっかり検証する必要がある、ということです。

当たり前のことですが、ここは常に気を付けるべきところです。

2 自賠責保険金の処理、同意書・確認書・協定書などの書類のへのサインを慎重に

ここまでくると、レベルが高いので、詳細は割愛しますが、自動車保険は、自動車を保有する人が絶対に加入しなければならない自賠責保険(強制保険です)と、上乗せの「任意保険」の2段構えです。

つまり、被害者が受け取る交通事故の賠償金が、どこから出ているのか、という出所には

1 自賠責保険金(強制保険です。加害者側の保険会社が出した金ではありません)

2 任意保険金(加害者側の保険会社が払う対人賠償か、自分の保険会社が払う人身傷害保険です)

があります。

実務的に、自賠責保険金を、人身傷害保険金を支払った保険会社つまり被害者の加入する保険会社が回収することがあります。この場合、同意書やら協定書やら、何らかの書類に、被害者は事前にサインして提出します。

この場合の自賠責保険金は、被害者が受け取っているわけではなく、人身傷害保険金を支払った保険会社が受け取ります。受け取ってから、被害者に支払われるわけではなく、そのまま人身傷害保険金を支払った保険会社が持っていきます。

にもかかわらず、自賠責保険金の分まで、すでに被害者がもらったお金と理解される恐れがある、という摩訶不思議な論点(保険会社側の主張)が、世の中にはあります。

言い方をかえれば、人身傷害保険金を支払った保険会社に対して、被害者が同意をしたことによって、人身傷害保険金を支払った保険会社が回収した自賠責保険金の金額は、加害者が支払うべき損害賠償金を減らしてくれ、と保険会社側の弁護士が主張するのです。

人身傷害保険金の支払いの際に、支払った人身傷害保険金は、「自賠責保険金を含む」と記載されていたり、自賠責保険金を人身傷害保険の保険会社に委託すると記載された協定書みたいな名称の書類に被害者の方が、事前にサインしていることが多く、これが諸悪の根源だと個人的には理解しています。

この論点は、「保険会社から送られてくる同意書」や人身傷害保険金の支払いの際に保険会社から送られてくる「書類」(協定書、確認書といった名前が多いです)の記載内容なども絡み合ってくるもので、一筋縄ではいきませんが、被害者の方が実際に受け取ってもいない自賠責保険金分の金額を、既払い金として評価されてしまい、加害者から支払われる賠償金から控除されてしまうかもしれない、えぇそんなことあるの?という、被害者の人にとっては、全く理解できない事態なのです。

得をするのは誰かを考えることがありますが、あまり実益がありません。

加害者側の保険会社なのか、それとも、人身傷害保険を出した被害者の保険会社なのか、などは、考えても仕方ありません。被害者には関係がないからです。

被害者の方が損をしてしまうことは確実である、ということです。

はっきり言って、制度の作りこみが甘い、ということだと思います。だからトラブルになって、最高裁まで争う人がいらっしゃるわけです。

この点に関して、

最高裁が令和4年3月24日に、判決を出しています。

最高裁まで争った方の事案を拝見すると、請求金額、つまり被害者が請求している損害賠償請求額は、156万3978円が総額でした。先にもらった既払い金もそれなりになる事例ですが、平成29(2017)年4月25日の事故で、最高裁が令和4(2022)年3月24日ですから、事故から約5年近く(4年11か月)くらい、戦ったわけです。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/048/091048_hanrei.pdf

ただ、この最高裁判決は、おそらく事例判断の一つです。

この最高裁判例は、被害者に有利な判断になりました。大変良かったと思います。

が、これですべて解決と言えるかというと、そう簡単には言えないような気がします。

この問題やこの問題の類する問題の背景は、被害者の方と保険会社の対応、とくに弁護士に相談に来る前に、サインをしてしまっている書類が存在すること、です。これが問題を呼び起こす諸悪の根源となっています。

このようなケースに、運悪くぶち当たってしまった被害者の方は、この問題の解決のために、争うか、あきらめるか、今後も、判断を迫られる可能性は残っています。

こういったトラブルを避けるためには、どうすればよいのか。

保険会社から送られてくる書類にサインする場合は、意味内容を理解してから、自己責任でサインする、ということに尽きます。これって、当たり前のことです。どんな書類も、大人がサインする以上は、基本的にはすべて自己責任です。

医療機関から請求書などを保険会社に直接送ってもらうための「同意書」は、基本的に、サインしてもらって問題ないと考えています(そうじゃないケースもありえますが、神経質な人は、弁護士に依頼して、いろいろ聞くとよいと思います)

自賠責保険の回収のための「同意書」やその内容が盛り込まれた「確認書」「協定書」みたいなものも実務的には結構あります。これが、曲者です。

気軽に署名・捺印していいものなのか、確かに、素人では、区別がつかないものも、存在します。

なお、当事務所では、自賠責保険の回収に関する保険会社からの依頼には、タイミングを見計らって、つまり問題が起きないように、ただ、無視はできないので、しっかりと応じるようにしています。

ご不安であれば、弁護士に相談したり依頼をしてアドバイスをもらってから、サインする、ということも、必要になるかもしれません。

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