証拠が何よりも大事という意味
平素より大変お世話になっております。
四日市の大洋総合法律事務所の事務員Hでございます。
法律事務所に入る前と、入った後で、『思っていたのと違うな』と感じたことを書きたいと思います。
弁護士の世界は地味であるということ!
『異議あり!』
弁護士が法廷に行くと、自分の代理として、言葉巧みに自分の主張を申し立てて、勝利をもぎ取ってくれる・・・!
そんな印象を持っていませんでしょうか?
私は法律事務所に入る前はそう思っていました。
もちろん、訴訟に勝つ人がいれば、負ける人もいるわけで、自分側が必ずしも勝てるわけではないのは当然ではあるのですが、 弁護士が関わる世界というのは、なんだか活気のある華やかな印象だったのです。
テレビドラマなどですと、明らかな証拠を見つけた!と、得意げに弁護士が宣言しているじゃないですか。
そんなイメージでした。
しかし、実際はちょっと違います。
裁判があっても、『異義あり!』という場面はほとんどなく、『尋問』といって、弁護士が被告または原告に質問をしてその答えを裁判官が聞いて、どちらが確からしいかを判断するというような機会くらいが、テレビドラマのイメージと似ている感じでしょうか。
地方裁判所での証人尋問の結果は、後日、裁判所が文字起こしをしてくれて、反訳文として、スタッフも内容を見る機会があるのですが、ドラマのように、「異議あり」という展開は、あまりないという印象です。
弁護士曰く、異議あり、と仮に弁護士が発言し、裁判所も異議を認めるケースというのは、異議を出された側、つまり質問をした方に問題があり、異議を認めた裁判所としても、質問方法に、やはり問題があるようなケースだそうです。
それ以外は、裁判と言っても、言い分は、全て書面にして事前提出、裁判の日にはその書面をもとに口頭で補足をしたり、裁判官からの質問に答えたり、提出された証拠の確認をする、といったことが全てのようです。
つまり、口頭の言葉でのやり取りというのはほとんどなく、書類がメインの仕事なのです。
地味ですよねぇ。
しかも、最近は、民事事件の場合、web会議システム✳︎を使って、裁判期日を開かれるケースも増えており、裁判所にも行かないことが増えて、さらに地味になっています。
(✳︎この記事を書いた令和4年1月時点の情報です。現時点では、一部の裁判所では、web会議システムに未対応で、全ての裁判所でweb会議ができるわけではないようです。)
地味だからこそ、細かい部分がとても大事になってくるのです
書類でのやり取りがメインとなった時に、大事になってくるのは、証拠です。
相手の悪いところをこれでもか!と書きまくって、威勢のいい強気な主張をすれば勝てるわけではないのです。
相手方が悪いという、その根拠がなければ、それはただの誹謗中傷になってしまいます。
例えば、
相手が赤信号を無視して突っ込んできて、その結果、私は大けがをしてしまった!
しかも、相手方は反省もしていない、なんてヒトデナシ!!しかもデブでハゲである!!
なんて、感情的に書いたところで、事故の責任追求に関係があるのは、信号無視をしたか否かだけで、デブでハゲでも、容姿端麗な人でも、事故原因とは、全く関係ないですよね。
むしろ、信号無視をした証拠はあるのですか?
と言われてしまうのです。
それどころか、相手方が青信号で、こちら側が赤信号無視しているなんてドライブレコーダーの映像を、相手から証拠として出されてしまった場合、反省していないのはどっちだ!なんて話になってしまいますよね。
つまり、証拠がある方が強いのです。
証拠というのは、自分の言い分の「根拠」となるものです。
もし、決定的瞬間を映している証拠がない場合、その周りの状況や現在あるものから、その証拠を出す必要があります。
状況証拠というやつです。
自車にドラレコがあって、事故の決定的瞬間が記録されているのであれば、それが一番ですが、そうでないケースもありました。
例えば、ドラレコはなくて、近くの防犯カメラの映像(少しだけ事故のことが映っている、近くの信号の色が映っているだけ)のみがあるケースとかは、映像+信号のサイクルを取り寄せたり、事故の状況を作図して推測できるようにしたり、コマ割りにして、その決定的瞬間は見えないままでも推測できるようにしたりなどです。
そこそこ大きな交差点だと、複数の信号サイクルが連動するようになっているケースがあって、決定的瞬間がなくても、調べていくと、事故の瞬間は、こっちが青で、あっちが赤、と言い切れることがあります。
そういった、事実を一つ一つ積み上げていくと、こちらの言い分の根拠となる『状況証拠』を組み立てることができます。
その『状況証拠』がとても大切になってきます。
『状況証拠』を見つけるのが、弁護士の腕の見せ所だと思います
これは決定的な証拠である!というものがあれば、裁判は有利になるといえるのだと思います。
しかし、証拠があれば勝てるからと言って、決してやってはならないのは『証拠の捏造』です。
かつて、相手から出てきた証拠で、こちら側の依頼者がとても不利になると思われる写真がありました。
離婚裁判で、妻側から、同居中に、夫から暴力をされたとして、体のあざのように見える写真が何枚も提出されたのです。こちらの依頼者は夫でした。
でも、依頼者は決してそんなことはしていない!暴力はしていない。その証拠写真がおかしい!!!とおっしゃっていました。
弁護士が依頼者の話をじっくりと聞き込み、その依頼者の言っていることが確からしいと信じて、対策を一緒に考えることになりました。
とりあえず、裁判の期日に、診断書があれば、提出してほしい、というと、妻側の弁護士は、病院は受診していないので、診断書はない、と言ってきました。
写真があるから十分だろう、というスタンスです。
客観的な証拠が全てになりますので、こちらから、相手方の出してきた写真が捏造であるという証拠を出さなければならない、そういう状況でした。
とにかく、同居中の写真をたくさん持ってきてほしい、と頼み、依頼者から、大量写真データをもらいました。
妻が暴行をされたとする写真は、女性の背中や腕、足のあちこちに、赤い腫れのような傷に見える写真でした。
同居中のその日は、夫が激怒して、すごくひどい暴行を受けたというという陳述書も妻側は提出してきました。
その写真の中の、あざのようなものがある妻は、金髪でした。
ところが、依頼者の夫が、妻が暴行を受けたとされる写真の撮影日とされる日の、前後の日付の写真を見ると、妻は、黒髪でした。
当事務所としては、写真撮影日の前後の家族の写真を出して、妻の髪色の相違を指摘しました。
妻側は、その日だけ、金髪にしたなどと言っていましたが、妻側の信用はがた落ちになり、夫が妻に暴行をしていた「事実」は、なかったという形になりました。
これは、相手方の嘘を崩せた一例ですが、逆に言えば、こちらも弁護士が依頼者の嘘に気付かずに捏造写真を証拠として出してしまえば、相手方にそれを崩されたときに、取り返しのつかない状況になってしまいかねません。
それ以降何を言っても、裁判官の印象を変えることは難しいのではないか、と思います。
弁護士としては依頼者がもし嘘をいっているとなれば、それを見抜く必要もあります。
相談を受ける弁護士として、依頼者との信頼関係がとても大事とこれまでも記事で書いていますが、こういったところでもその重要性は見逃すことが出来ません。
弁護士と依頼者との信頼関係があるなら、嘘の証拠を出して弁護士に代理として主張してもらおうとは思はないでしょう。
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